楽しい実験「メッキ落とし」 このエントリーをはてなブックマークに追加

楽しい実験シリーズ、今回はメッキ落としについての実験です。
様々な溶剤を使ってのメッキの落ち方を観察していきます。

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溶剤漬け込み実験
まずは塗料によるメッキへの反応について。
各種塗料用うすめ液に漬け込み、その影響を確認していきます。


使用する道具
ラッカー(アクリルラッカー)=ガイアカラー薄め液
エナメルガイアカラーエナメル溶剤
アクリル(水性溶剤)=タミヤカラー アクリル溶剤
アルコール無水エタノール
漬け込む容器はごく普通の紙コップです。
使用するプラ素材はPG「ユニコーンガンダム3号機フェネクス」の金メッキランナー(PS)。

メッキパーツの基本構造
プラモデルのメッキパーツは下図のようになっています。
キットによって違いますが、フェネクスの金メッキは両面がこの構造。
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実験手順
1.ラッカー、エナメル、アクリル、アルコールの溶剤にメッキランナーを漬け込む。

 溶剤の量は決めていませんが、ランナーが頭まで漬かる量を目安にしています。
2.一定時間経過後、それぞれのランナーの状態を観察。

実験結果
漬け込み直後
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漬け込み直後の状態。
この時点でアルコール(左下)、ラッカー(右上)はクリアカラーの溶け出しが確認できます。

ラッカー
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1分後(上):クリアカラー層はほとんど溶けるが、全体にうっすらと残る。
3分後(下):1分後では残っていたカラーが完全になくなる。

エナメル
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1分後(上):クリアカラー層の溶け出しはない。
3分後(下):時間経過しても変化はない。
溶剤を見ても色の溶け出しは全く見られません。

アクリル
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1分後(上):わずかにクリアカラー層が溶け出す。
3分後(下):クリアカラーの溶け出しが進み、色が薄くなる。
画像では色の変化がわかりにくいですが、溶け出しによる表面のべたつきもあります。

アルコール
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1分後(上):漬け込み直後からクリアカラーの溶け出しがあったが、1分後には完全になくなる。
3分後(下):時間が経つにつれて、メッキ層にクラックのような曇りが発生する。
クリアカラーを溶かす力は強いのですが、メッキ層へも影響が出てくるようです。

15分後
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時間が経っても上記の傾向は変わらず、さらに30分経過しても大きな変化はありませんでした。
ラッカー:クリアカラーの溶け出し後、メッキへの影響もなし。
エナメル:時間が経過してもカラーの溶け出しはない。
アクリル:カラーが薄まりはするが、完全にクリアカラーがなくなることはない。
アルコール:メッキが溶けるようなことはないが、メッキ面の曇りは3分後と同程度発生する。

追加実験
3.前実験で30分漬け込んだメッキランナーを、同じ溶剤を染み込ませた綿棒で拭く(こする)。

メッキパーツの影響をさらに拭き取りで確認していきます。

実験結果
ラッカー
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クリアカラーが落ちた後、綿棒で拭いてもメッキ層が落ちることはない。

エナメル
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漬け込みの後でも、エナメルでクリアカラーが落ちることはない。

アクリル
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薄っすらとクリアカラーの色移りがあるものの、クリアカラーが完全に落ちることはない。

アルコール
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アルコールのメッキ層への影響は確実にあるようで、こすっているとメッキ層も落ちてくる。

また、全体として漬け込み後でもランナーの強度に変化は見られませんでした。
メッキがプラスチックを保護しているのかもしれません。
(溶剤のプラスチックへの影響について詳しくはこちら→楽しい実験「溶性・耐性」)

漬け込みなしでの拭き取り
比較用に漬け込みなしでそれぞれの溶剤による拭き取りも試してみました。

実験結果
ラッカー拭き取り
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クリアカラーのみが落ちる。強くこすらない限りメッキへの影響もない。

エナメル拭き取り
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拭き取りによる影響はない。

アクリル拭き取り
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カラーの溶け出しはあるものの、クリアカラーが落ち切ることはない。

アルコール拭き取り
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クリアカラーは最もよく溶ける。すぐにメッキが落ちることはないが、メッキの曇りが発生。

考察まとめ
実験の結果をまとめると、
ラッカー:クリアカラーを溶かすがメッキへの影響は小さい。
エナメル:クリアカラー、メッキを含め影響はほぼない。
アクリル:クリアカラーを溶かすが、色を完全に落としきることはない。
アルコール:クリアカラーを良く溶かし、メッキへも影響を与える。

となります。
クリアカラーを落としたいのであればメッキへの影響の少ないラッカーが無難。
エナメルカラーであればメッキ落としなしでの塗装もいけそうです。
スミイレペンやコピックなどのアルコール系の物はメッキに直接使うのは控えた方がよさそうです。
また、漬け込みの場合、強度にも不安はありましたが、体感として変化はありませんでした。


漂白剤によるメッキ落とし実験
続いては漂白剤を使ってメッキ層を落としてきます。
漂白剤の希釈による影響、クリアカラー層の有無の影響をこの実験で確かめていきます。

使用する道具

漂白剤
ハイター 衣料用漂白剤
希釈に使っている水は我が家の水道水です。
漬け込み実験と同様にPG「ユニコーンガンダム3号機フェネクス」の金メッキランナーを使用。
クリアカラーを落としたランナーはラッカー漬け込み実験で使ったものを使用しています。

実験手順
1.ハイターの原液(50ml)と、10倍に希釈したもの(50ml)を用意。
2.クリアカラーを落とした金メッキランナーと、そのままのランナーを1.の液に漬け込む。
3.一定時間経過後のそれぞれのランナーを観察。

実験結果
漬け込み直後

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左コップ:10倍希釈、右コップ:ハイター原液
原液ではランナーが浮いてしまっています。

1分後
mekki_c3.jpgmekki_c4.jpg
左:10倍希釈、右:ハイター原液
原液では漬かっていた部分のメッキが落ちたが、希釈側は部分的にメッキが落ちてきた程度。
クリアカラーの残っていたランナーには変化なし。

5分後
mekki_c6.jpgmekki_c7.jpg
原液側はメッキが完全に落ちる。希釈側も半分以上のメッキが落ちている。
ここでもクリアカラーの残るランナーには変化なし。

10分後
mekki_c9.jpgmekki_ca.jpg
希釈側もほとんどメッキが落ちるが、一部にまだ残る。
以後、クリアカラーの残る方には変化がなかった。

20分後
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希釈側のメッキ落ちは進むも、まだ残る。

30分後
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メッキ落ちは進むも溝などにまだ残る。

1時間後
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30分後の物と比べ、大きな変化が見られなくなった。
どうやら希釈すると溝などへの浸透力に限界が出てくるようです。

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こちらは1時間後カラーあり版。上のランナーは漬け込んでいないランナー。
1時間たってもクリアカラーが残ったランナーには変化が見られませんでした。

mekki_cq.jpg
さらに24時間漬け込んでいたランナー。
原液の方にはようやく色落ちが出てきました。
濃度の影響、パーツの状態にもよるとは思いますが、完全に保護できているわけではないようです。

mekki_cp.jpg
メッキを落としたランナーがこちら。
この状態では上記図の「クリア層」が残っています。
クリア層はラッカーなどのうすめ液には溶けませんが、接着剤やパテには影響を与えることもあります。
このクリア層はペイントリムーバーRで落とせます。
(ペイントリムーバーRについてはこちらで→楽しい実験「ペイントリムーバー」)

考察まとめ
実験結果をまとめると、
漂白剤は原液の方がメッキが良く落ちる。希釈すると時間がかかる上に、奥まで浸透しないことがある。
クリアカラーが残っているとメッキが落ちない。

となりました。
パーツの量にもよりますが、浸透力も考えて極力原液に近い方が手っ取り早いです。

なお、おそらくですが漂白剤にはプラスチックを脆くする性質がありそうです。
1日(24時間)漬け込んだランナーは、乾燥しても漂白剤のにおいが残り、折れやすくなりました。
「折れやすい」というは感覚的なものではありますが、注意が必要です。
メッキを落とした後は手早く処理して、パーツの漂白剤を洗い落とすようにしましょう。

追加実験
ハイター原液でランナーが浮かんでいるのが気になったので、沈む濃度を確認してみます。

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先ほどの実験のハイター原液(50ml)。
こちらにプラが沈むまで水を追加していきます。

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ハイター50、水20で沈みました。
次の実験で判明しますが、この限りではないようなので、一つの目安としてご参考ください。


マスキング実験
続いて、パーツをマスキングしてメッキ落とししていきます。
漬け込みにおいてマスキングがどの程度影響するのか確認していきます。

使用する道具
ここで使うマスキングテープはタミヤのマスキングテープ(18mm)

実験手順
1.金メッキランナーをマスキングして、ラッカーうすめ液に漬け込む。
2.クリアカラーが溶けだしたら取り出し、マスキングテープをはがして状態を観察する。
3.再度マスキングし、ハイターに漬け込む。
4.メッキが落ちたら取り出し、マスキングテープをはがして状態を観察する。

実験結果
ラッカー溶剤とマスキング

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画像のように中心にマスキングし、ラッカー溶剤に漬け込みました。

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2分程度でカラーが溶けだしたので、取り出します。
2分漬け込んだくらいではテープがめくれるようなことはありませんでした。

mekki_d4.jpg
マスキングテープをはがすと画像の通りです。
テープに沿ってきちんと色落とし出来ています。
テープのノリが溶け出している部分もあるので、溶剤の影響はあるのでしょう。

漂白剤とマスキング
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続いて金メッキと銀メッキをまたぐようにマスキングします。

mekki_d6.jpg
前の実験に基づきハイター5、水2で希釈した液に漬け込みます。
先の実験ではこの希釈でランナーは沈んでいたのですが、ここではT字部分が浮かんでしまっています。
この実験では特に問題ないのでこのまま進めます。

mekki_d8.jpg
3分ほどでメッキが落ちました。
ここでもテープのめくれなどはありません。

mekki_d9.jpg
テープをはがすと画像の通りです。
カラー層が残る部分、マスキングテープをしていた部分のメッキがキレイに残りました。

考察まとめ
今回の実験をまとめると、
クリアカラーを溶かさないためにマスキングはある程度有効。
ただし、ノリの溶け出しがあることから長時間の漬け込みには注意が必要。
メッキ層の保護にもマスキングは有効。クリアカラーを残していてもメッキの保護になる。
という結果に。
銀メッキが欲しい場合を除けばクリアカラーを残しておくことでメッキを保護するのが良いでしょう。
ちなみにラッカーの漬け込みで溶け出したノリは、エナメル溶剤できれいに拭き取れます。



メッキ落としについての実験でした。

これらの実験から
・クリアカラーを落とすのであればラッカーが無難。2分くらい漬け込むとほとんど落ちる。
・スミイレにはエナメルカラーが良い。アルコール系のスミイレペンは危険。
・メッキ落としにはハイター2に対して水1~2くらいで希釈すると手早く済む。
・カラー層、メッキ層、どちらに対してもマスキングは有効。

といえます。

今まで「なんとなく」でやり過ごしていたメッキについていろいろ確かめてみました。
何かと面倒なメッキパーツですが、様々な表現の一助としてお役に立てば幸いです。
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[ 2018/05/14 00:00 ] 楽しい実験シリーズ | TB(0) | CM(0)

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