楽しい実験「ペイントリムーバー使用実験」 このエントリーをはてなブックマークに追加

楽しい実験、今回はペイントリムーバーの性質についての実験です。
模型用塗料を落とすための溶剤、ペイントリムーバー。
その使用法と、注意点を確認していきます。

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今回使用するリムーバーはガイアの「ペイントリムーバーR」です


使用する道具
使用するリムーバーはペイントリムーバーR
他にタミヤやMr.カラーのペイントリムーバーもあります。

カラーサンプルはタミヤのプラバン0.3mmに塗装したもの。
塗装されているカラーはその都度紹介。
厚みはものによって変わる場合もあります。

漬け込み使用する瓶は、Vカラーの空き瓶。
紙コップは100均で買ったごく撥水加工のされた普通の紙コップです。
なお、漬け込みは中は室温で、20~25℃くらいです。


ペイントリムーバーの使用法と性質

まずはペイントリムーバーの基本的な使用法と、その威力を確認していきます。

実験手順
1.Vカラーの瓶にカラーサンプルを入れ、3分目程度をペイントリムーバーに漬け込む。
2.5分後、サンプルを取り出す。
3.漬け込んだ部分を、キッチンペーパーでふき取り。

実験結果1「サフ→モンザレッド」
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漬け込み使うカラーはこちら。
サーフェイサーの上からモンザレッドを塗装したカラーサンプル。

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画像のように瓶に入れ、3分目程度をリムーバーに漬け込みます。

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5分後の状態。
塗料にリムーバーが染み込み、サフ面が浮き出しています。

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漬け込み後、ペーパーでふき取った状態。
線を引いたようにスパッと拭き取れます。
上塗りのモンザレッド、下地のサフともに塗料残りなどはほとんどありません。


ふき取りへの反応
続いてふき取りへの反応を見てみます。
リムーバーを含ませた綿棒で、先ほどのカラーサンプルを拭いてみます。

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リムーバーを塗った直後の状態。
つけるとすぐ溶け出す、というほどではありません。

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リムーバーを染み込ませた綿棒で拭いた状態。
こすっていくと少しずつ溶けていきます。
まだ下地のサフまでは届きません。

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2~3分拭き続けていると、下地のサフまで取れていきます。
拭き取り全般に言えるのですが、何気なくこすっていると、パーツが磨かれて艶が出てしまいます。
「漬け込む」まではいかずとも、塗ってみて3分くらいリムーバーが染み込むのを待つのがおすすめです。


実験結果2「重ね塗りの例」
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こちらは、サフ→イエロー(シェイド)→イエロー(ハイライト)→ドライブラシ(エナメル)と、
重ねり塗りしたサンプル(ティエレン製作で使用)、コートはしていません。
先ほどの実験手順と同じようにして反応を見ます。

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漬け込み5分後の状態、塗料が浮き出してきます。

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ペーパーで拭き取りますと画像の通りです。
重ね塗り、エナメルなど異なる種類の塗料でも容赦なく落とします。


ラッカーとの比較
ラッカーで落とした場合との比較をしてみます。
使用するカラーサンプルはサフなしのMSブルー(一層)です。

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ラッカー溶剤に5分漬け込み、取り出した直後の状態。
ラッカー塗料にラッカー溶剤なので、溶け出しやすく、漬け込んだだけで塗料が浮き出しています。

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しかしながら、いざ拭きとってみると塗料が残って、伸びたような状態になります。

リムーバーの威力は塗料を溶かす力というより、塗料に浸透する力が強いようで、
浸透させる間が必要になりますが、厚い塗膜も安定して落とせます。


Vカラーへの反応
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Vカラーのグレー(ブラック4:ホワイト1)サンプル。
(Vカラーについて詳しくはこちらで)
ラッカーと同条件で実験していきます。

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5分漬け込み後の状態。
塗料の浮き出しはありません。

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拭き取り後の状態。
ペーパーへの色移りがごくわずかにありますが、ほとんど溶けません。


ウレタンクリアへの反応
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ウレタンクリアのカラーサンプル。ピッカピカです。
(ウレタンクリアについてはこちらで)

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取り出し直後の状態、赤丸の部分がめくれています。

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拭き取り後の状態。
めくれた部分が剥がれていますが、その他の部分には影響がありません。
めくれてしまったのは塗装条件によるものと思われますが、基本的にウレタンは溶けないようです。


キズへの反応

続いて傷への反応を見ていきます。
ここでのカラーサンプルは楽しい実験「表面処理とサフ」で使用した物を使います。

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こちらのサンプルは1mmプラバンに、180番でヤスリ掛けの後、グレー(1層)を塗装したものです。

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5分漬け込み、取り出し直後の状態と、ふき取り後。
180番でヤスリ掛けした場合、その表面の傷に塗料が残ります。

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リムーバーを含ませた綿棒を使って拭き取ると、傷まできれいに拭き取れます。

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ディテールや、モールドなどにはふき取りが必要そうです。


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続いて、600番でヤスリ掛けし、サフ→グレーと塗装したカラーサンプル。
表面処理として標準的な表面処理でペイントリムーバーの性能を見てみます。

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5分漬け込み、直後の状態と、拭き取り後の状態。
600番程度まで表面処理していれば、傷にも残らず、キレイに拭き取れます。


考察
改めまして、実験結果のまとめ。
ラッカー=溶ける。エナメルで重ね塗りしていても下地まで浸透して溶かす。
Vカラー=うっすらとは溶けるが、ほとんど溶けない。
ウレタン=溶けないが、内側からめくれることもある。
浸透する力が非常に強く、重ね塗りなど厚塗りしていても安定して色落とし出来ます。
180番の傷があると落ちない部分があったことから、モールドなどでは落としきれないケースもありそうです。
600番までの表面処理では遜色なく色落としで来たので、普通に組んだキットの色落としは問題なさそうです。


プラへの影響

続いて、ペイントリムーバーRのプラへの影響を実験していきます。

実験手順
1.PS、ABSランナーを入れた紙コップに、溶剤を添加。
2.30分漬け込んだのち、プラを取り出す。
3.取り出したプラを12時間以上乾燥させる。

この実験手順は、楽しい実験「溶性・耐性実験」と共通です。
使用するランナーはPGユニコーンのPS(白)、ABS(グレー)です。


実験結果
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30分漬け込んだ状態。

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PSには特に影響は見受けられません。
ラッカー溶剤に漬け込んだ時にはタグなどが崩れやすくなっていたので、
やはりラッカー溶剤よりプラへの影響は少ないようです。

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逆にABSは表面がどろどろと溶けてしまいます。
記載されている通り、ABSへの使用には向かないようです。

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PSをさらに30分漬け込み、累計1時間後。
ここでも影響ありません。

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さらに1時間漬け込み、累計2時間後の状態。
やはりここでも影響ありません。

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2時間漬け込みが終わったランナーを、12時間以上乾燥させ、曲げてみました。
漬け込み前のランナーとほとんど変わりありません。
90度曲げ、さらに逆方向に180度曲げ、またそこから180度曲げたところでようやく折れました。

考察
PS素材には溶剤の影響が全くないといっていいほど低く抑えられています。
30分漬け込んで取り出したABSランナーは12時間、24時間乾燥させた後でもベタベタのままでした。
前述の浸透力の高さもあるので、ABS素材に使用するのは非常に危険です。
そもそも「ABS素材には使用しないでください。」と容器に記載されています。(タミヤ、クレオスも共通)
使用前にはランナーやパーツの裏などを使ってプラ素材を確認しておきましょう。


マスキングへの影響

ちょっとレアケースですが、マスキングした状態での色落としを実験してみます。

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画像のようにマスキングテープを付けたカラーサンプルを、ペイントリムーバーに漬け込みます。
カラーサンプルはサフ→MSブルー+蛍光ピンク(3:1)

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今回のリムーバーは上記実験で使ったものを再利用しています。
また全体の影響をはっきりさせるため、8分目くらい漬け込みます。

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5分漬け込み後の状態。

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拭き取り後の状態。
テープに溶剤がしみていますが、きちんと保護できています。

考察
テープの線に沿ってクッキリ、とはいきませんが、一定の効果がありそうです。
浸透してしまうと境目の部分から溶け出してしまいますが、拭き取り作業で“念のため保護する”程度には使えそうです。
ただし、過信は禁物です。


メッキへの反応

続いて、メッキへの反応を確認していきます。

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こちらの1/100ゴールドスモーのメッキランナーを使います。

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ランナーが漬かる程度漬け込みます。

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5分後の状態。
メッキ表面のクリアイエローが溶け出してきました。

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拭き取り後の状態。
表面のクリアイエローがなくなり、キレイな銀メッキになりました。

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さらに2時間以上漬け込んだ状態。
メッキ部分が部分的に剥げてきました。
ペイントリムーバーR事体にメッキを溶かす効果はないのですが、
おそらくリムーバーがメッキ下のクリア面まで浸透し、そのクリア面を溶かしているようです。

考察
リムーバーを使うと奥まった部分まで浸透し、こする必要がなくなるのできれいな銀メッキが得られます。
ただし、メッキを剥いでしまう可能性を考えると安易に漬け込んでしまうと危険なのかとも…
いずれメッキについては再考察したいと思います。
なお、使ったことはないのですが、タミヤのペイントリムーバーはメッキにも対応しているようです。




ニオイ
感じ方には個人差がありますが、ニオイは割とマイルドな方だと思います。
漂白剤のようなニオイで、個人的にはちょっと苦手なにおいではあります。

紙コップへの反応
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今までの溶剤実験ではあまりなかったのですが、リムーバーが外側にしみだしてきました。
おそらく侵透力の高さによるものと思われます。
ここまで書いてきたようにリムーバーの浸透力は非常に強く、
例えばラッカーサフの上からVカラーを塗装した場合は、下地のサフだけ溶け出してきたりもします。

乾燥時間
乾燥時間は他の溶剤と比べ非常に長いです。
体感としては水が乾くより時間がかかるのではないか?というくらいです。
容器に「中性洗剤でパーツを洗う」ことを推奨されているのは、溶剤残りが発生しやすいからだと思います。



個人的に使いどころがいまいちよくわからなかったので色々実験して調べてみました。
推奨されているPS素材には確かに有効なのですが、ABSに使えないというのはなんとも…
使用前には本体の材質と、塗装された塗料のチェックが必要なツールです。


[参考]似て非なるものツールクリーナー

「塗料を落とす」という点では似たような性質を持つツールクリーナー。
ペイントリムーバーはその浸透力で塗料を落とし、プラへの影響も最小限に止められています。
ツールクリーナーは塗っただけで塗料を溶かす効果があり、塗っただけでプラ材まで溶かすほど強力です。
また乾燥時間にも差があり、リムーバーは乾燥に時間がかかりますが、クリーナーはとても乾燥が早いです。
その性質の違いから、「ツールクリーナーで模型の塗料落とし」は出来ないし、
「ペイントリムーバーで掃除」もお勧めできません。
なんとなく似ていますが、目的に応じて使い分けていきましょう。
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[ 2017/04/06 00:00 ] 楽しい実験シリーズ | TB(0) | CM(0)

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